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2004/11/02

儲かってしかたありません!

この不況下、儲かって仕方ないのでどうしよう?なーんて冗談でも言える人にはそうめったにお目にかかりませんが、先日ある人から「誰か休眠会社を売ってくれないかな」と聞きましたので、「なんでいるんですか?」と尋ねましたら、「知り合いが最近儲かって仕方ないから節税対策に会社を買うと言ってるらしい」とのこと。節税対策で会社を買って何とかなるものならみんなやってるだろう、という言葉は飲み込んで、「本当にいるんですか?本当に買うなら探しますよ」と返事しました。「ほしい」と言うことですので、さっそく知り合いに相談すると、「あ、ちょうどよかった。顧問先から1社出物をもらったばかりで、借金ゼロ、設立したばかりの上物なんだけど、好きに使ってくれていいよ」というありがたいお言葉。「むはは、オレの知り合いも役に立つもんだ」と思いながら、さっそく現在事項証明書をFAXしてもらって、相談してきた人に渡しました。すると、その場で知り合いに電話。「もしもし、ああ、ありましたけどどうします?え?なに?・・・んー、そういうことだったら無理じゃないの?やめたほうがいいよ」なんて話しを進め、結局「あー、ごめんごめん、やっぱりいらないわ。いい加減な話しだったから断った」と言うのです。読まれた方は当然わかると思いますが、「会社を売ってくれ」という話しを相談して、オファーが来たと思ったら「やっぱりキャンセル。ご苦労さん」なんて話が世間で通用するはずはありません。思わず「えぇ?そんなこと言われても今更困りますよ、与太話を持ち込んだように思われたら信用なくします」と言いますと、「いやーけど、しかたないし」と、すっかりやる気がなくなった様子でとりつく島もない。そこで100歩譲って、考えを巡らし、オファーをくれた人に断りの電話を入れました。「すみません。。。本当に申し訳ない。。。」
案の定、「確証もないのにいい加減な話を持ってくるのであれば、二度と電話してくるな」と猛烈に怒られました。そりゃ誰だって怒るわな。その後、事情をよく聞きましたら、大手メーカーを退職して商社を経営しているらしいその方、いきなり儲かりすぎて大あわて、節税対策なんてしていないものですから、今期の決算でごっそり法人税を取られることは間違いなく、なんとかして利益をプールしておこうと相談を持ちかけたようなのです。確かに、創業後すぐに想像以上の利益があがってしまうと、いきなり役員報酬をどかんと上げるわけにもいきませんし、あわてる気持ちもわかります。しかし、最初に相談した税理士が「なんでもいいから休眠会社を買い取って、その会社との間で架空売上のキャッチボールをでっち上げたら大丈夫、それと経費を水増しするから、これも架空の領収書をかき集めろ」と言ったらしく、それをまともに受け止めて実行しようとしていたという情けなさ。なんでも、売上がすごいのか「国税にやられるかもしれない」などとも言っているそうで。税務署だってプロです。利益が上がる前から節税のストーリーを作るならまだしも、すでに利益が出てから急に休眠会社を買い取って架空経理なんてしたら、100発100中バレるに決まってるじゃないですか。いったい何を考えてアフォな計画を立てたんだとバカにしてやりたくなったのですが、アドバイスをしているという税理士もどんなやつなのか、顔を見てみたいもんだと思っております。儲かって仕方ないので節税したい、と安易に考えておられる、うらやましい限りのみなさん、節税するなら日頃からこつこつと、まずはできる限り合法的にやってください。でないと、節税するどころか追徴課税にブタ箱行きというバラ色の人生を味わうこと間違いなしですよ。

ちなみにですね、心優しい私はそこで冷たく見放すわけではなく、他にもかなり良い手段を持っております。ついては、できる限り協力すると言ってあげました。それに耳を傾けてくれるなら、ブタ箱行きを免れ、おそらくは相当な利益を享受するはずですが、もうおわかりのとおりホームラン級のバカのようですから、満塁ホームラン級のボケ税理士にころっとだまされるのがオチかという気がいたします。。それにしても、いまや一介のサラリーマンなのにこんなことばかり相談されるわたしっていったい・・・。裏相談でも気前よく世話してあげるから「インテリやくざ」なんて言われちゃったりするんですよ。こんなにも人に優しいのにね。

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